Tetsuya Ishikawa

Everything in the World is Made of Mathematics

Mechanical Keyboard

メカニカルキーボード

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プログラマーにとってキーボードは,重要な仕事道具であると同時に,タイピングを楽しむためのものでもあります.良いキーボードを手に入れてタイピングが楽しくなったのをきっかけにタイピングが上達した,という方も多いのではないでしょうか.ですが.キーボード好きが高じて,実益の範囲を越えてキーボードにのめり込んでしまう人がいます.はい,私もそのひとりです.ここでは,そんな私のお気に入りのキーボードを勝手に紹介します.

日本で高級キーボードと言えば,静電容量無接点方式のキースイッチを持つ REALFORCE と Happy Hacking Keyboard が有名ですが,私のイチオシはメカニカルキーボードです.なぜならば,突き詰めればメカニカルキーボードの方が良い使用感が得られます.REALFORCE や Happy Hacking Keyboard は既製品ですので,基本的にはカスタマイズができません.ですがメカニカルキーボードは比較的自由度が高く,キースイッチやキーキャップ,ケースなどのパーツを選択する自由があります.これらのパーツを適切に選べば,メカニカルキーボードの総合的な使用感は間違いなく REALFORCE や Happy Hacking Keyboard などの高級キーボードを越えることができます.ここでは高級キーボードを越える(と筆者が思う)キーボードを紹介します.

メカニカルキーボードのランキング

#1: SP64 w/ wodden keycaps

60% サイズの左右分離型キーボードです.分離型キーボードは特殊な形状なものが多いですが,SP64 は通常の 60% キーボードをただ割っただけの形状をしていますので,分離型キーボードの初心者でも安心して使えますし,非分離なキーボードとの併用も苦になりません.キー配列はフルプログラマブルなので HHKB のような特殊な配列にすることも可能です.さらに SP64 はホットスワップ対応のハンダ付け不要の組立キットですので,電子工作が苦手な方でも安心です.キースイッチには ALIAZ SILENT の 70g を使用しています.適度な重さと控え目なタクタイル感が印象的なキースイッチで,Gateron silent brown の感触をリッチにした感じです.ルブする前は押し込んだ時の金属音がやや気になりますが,ルブすると気にならなくなります.ちなみにルブには Super Lube を使用しました.

#2: Feker Alice 80 w/ dolch keycaps

Alice レイアウトの左右分離型 65% キーボードです.筐体自体は分離されていませんが,キー配列が左右に分離されています.SP64 ほどではありませんが,分離型キーボードの中では初心者でも比較的馴染みやすいレイアウトと思います.Feker Alice 80 は,組み立て済みのものと,キースイッチとキーキャップのないベアボーンタイプのふたつが販売されています.ベアボーンはキャップホットスワップ対応ですので,ハンダ付けなどの電子工作が苦手な方でも安心です.キースイッチには Gateron Pro Yellow を使用しています.適度な重さと滑かな打鍵感,心地良い音が好印象なキースイッチです.Gateron Pro シリーズはファクトリールブがなされており,非常に滑らかに仕上がっています.Feker Alice 80 の弱点として,チルトスタンド(背面にある折り畳み式の足)を最大まで上げると筐体が不安定になることです.購入時はその点ご留意下さい.

#3: SK61 w/ aluminum case

60% サイズの光学式キーボードです.キースイッチが光学式なのが特徴です.一般に,光学式キースイッチの良さはチャタリングしないことや耐久性が高いことだと言われていますが,違います.何も分かっていない.光学式キースイッチはその構造上,内部に物理スイッチを持たず非常に単純な構造をしてます.ゆえにルブがしやすく,かつルブの効果が高く出ます.これが光学式キースイッチの一番のメリットです(と主張しているのは私だけかもしれませんが).キースイッチは黒軸を選択しました.Gateron Optical の黒軸はスペックよりもやや軽く感じられ,ルブすると最高の打鍵感が得られます.またケースにはアルミニウムケースを使用しました.かなり重い(手に持って振り回したら凶器になりえるレベルの重さです)ですが,安定感に非常に優れ,打鍵感と打鍵音がさらに良くなります.

#4: Tokyo60 w/ samurai color keycaps

HHKB に近いキーレイアウトを持つ 60% サイズのキーボードです.いわゆるサムライレッドな HHKB が欲しくて制作しました.金属筐体でありながら背が低いため,どのキースイッチを選択しても非常に安定感があるように感じられます.キーボード自体の特徴はその HHKB ライクなキーレイアウトと,QMK でキー配列を変更できることにあります.ホットスワップ対応かつハンダ付け不要な組立キットなので,電子工作が苦手な方でも安心してお試し頂けます.キースイッチは ALIAZ SILENT 60g を使用しています.#1 で紹介したキースイッチとは重さが違うだけですが,個人的には 70g の方がオススメです.60g は押し込んだ時の金属感が強く,ルブしてもまだ少し金属感が残ってしまいます.ただしこの辺りはルブの種類ややり方によって改善できるかもしれません.

#5: SK61 w/ 5° alminum case

60% サイズの光学式キーボードである SK64 に KBDFans の 5° alminum case を合わせてみました.キースイッチは Gateron Optiocal の茶軸です.前述の通り光学式キースイッチはルブの効果が高く出る傾向にあり,Gateron optical の茶軸もその例に漏れず非常に滑かになります.ですが,個人的には Gateron Optical 黒軸ほどの感動はありません.ケースは斜めにカットされたアルミニウムケースです.かなり重い(同じく手に持って振り回したら凶器レベルの重さ)ですが,安定感に非常に優れ,打鍵感と打鍵音がさらに良くなります.ですが個人的には前述の角型の方が安定度は高く好みです.キースイッチを固定しているプレートを黒く塗ればさらに見栄えが良くなるのですが,面倒でまだやっていません...

番外編: SP64 with gray keycaps

お気に入りの SP64 を別のカラー,別のキースイッチでもう一台制作してみました.色は全体的にグレーにし,一部に黄色を差し込んで少しポップに仕上げてみました.キースイッチには Gateron 静音茶軸を使用しています.Gateron 静音茶軸は控え目なタクタイル感と静音が特徴のスイッチで,荷重はスペックよりもやや軽く感じられます.静音キースイッチはどれも独特なカサカサ感があるのと,ストロークが少し浅くなりますが,Gateron 静音茶軸はあまりそれらを感じません.入手性もコストパフォーマンスも良く,オススメスイッチです.キーキャップは PBT で厚めに作られており,どのキースイッチに合わせても打鍵感が良くなるように思います.また刻印のデザインも非常に良く,無刻印好きな私でもお勧めできる一品です.